令和臨調?何その組織。
令和臨調は令和国民会議のことで、経済界、労働界、学識者などの有志が集まり、「日本社会と民主主義の持続可能性」の実現を目指す任意の組織です。
わかるようなわからない組織ですが、昨年6月に特に何かを決定する権限はありませんが、発せられる提言等には経済界、労働界の強い希望が込められていることが多く、政府や日銀にもそれなりの影響力があると言われています。
その組織が昨日1月30日にアベノミクス以降の政府と日銀の政策について、厳しい評価をしたため一気に注目されたわけです。
現状の経済の弱さは、物価上昇2%の早期実現を目指した2013年の政府・日本銀行の両方の責任であり、政府の発行する多額な国債とそれをマイナス金利政策を維持するために多量に購入した日銀は金融システムが本来あるべき姿から大きく逸脱する原因を作ったと解説しました。
政府の役目は税金に徴収とそれの使い道を決めることです。
しかし、アベノミクスでは税収入に対して不足する予算案を作り、不足を大量の国債発行で賄う政策が行われました。
本来の目的は物価を上げて企業の売上を上げて、景気を良くしようとすることでした。

国債を買う人が増えれば、市場からお金は国に集まります。
それを再分配することでお金の回転を良くして景気を刺激したかったのでしょう。
しかし、市場からお金が減れば景気にブレーキを掛けます。(金利が高くなるため)
そこで日銀は国の政策を後押しするために、発行する国債を大量に購入して市場にお金を供給しました。これがいわゆるマイナス金利政策と言う異次元の金融緩和措置です。
日銀の思惑としては、安い金利でお金が調達できれば、企業が積極的に研究開発や設備投資に活用して良い製品が生まれ、製品も高くなり、結果として物価目標も達成、景気も良くなると考えたのでしょう。

しかし、実際何が起こったかと言うと、あり余ったお金は企業ではなく、投資家が株や為替の投資資金として利用しました。
マネーゲームの資金になったのです。
結果として株価は上がりましたが、それはゲームで生まれた価格です。
企業実績を反映しない株高となりました。
これが一般の人たちが景気の良さを実感できない数値上の景気の良さの原因です。
本来、企業が安い金利を背景に研究開発による付加価値の高い製品開発、効率化を求める新たな設備投資を行うべきでした、それを行わなかった。行わなくても利益が出てしまう環境を作ったと批判しました。
提言ではこれを「副作用」と表現しています。
言い換えるとお金が市場にたくさんあり、安く借りれるからそれを元手に儲けようとする人が増え、本来、産業の発展や新規分野で新しいビジネスが生まれるべき努力をしない体質になりその結果が現在の弱い日本経済を作り出したと言う訳です。
元凶は多額の国債を発行した国、その国債を金利を抑えるためだけに購入した日銀であると言及しましたことで今年4月に黒田総裁に代わる人を岸田総理が任命する人事にどのように影響するかが注目されています。
提言では、財政の持続可能性や、異次元金融緩和の副作用として今後正常化する過程で発生し得るコストやリスクなどの情報を具体的に開示する必要があります
マイナス金利政策をプラス金利に正常化させるために発生するコストとリスク(デメリット)の情報を具体的に示せと迫ったわけです。
新任する総裁は、マイナス金利政策を直ちに止め、直ちに欧米のような金利に戻す政策にすれば景気は完全に後退します。
安い金利でお金を借り、株式投資や不動産投資を行っていた会社や個人は金利が上がれば返済に困り、破綻倒産は当たり前になり経済は大混乱になります。
このような事態になる可能性を事前に国民に知らせておくべきだと言うことです。
急激な政策転換は毒薬です。
どのようにしてマイナス金利政策を収束させるのかが問題になります。
市場では3~5年でゆっくりと収束させる必要があり、それでも一定の景気後退は避けられないと見ているようです。
現在国会は、予算審議を行っていますが、その中には日銀総裁人事も含まれています。
誰がなっても舵取りが非常に難しいことは確かですが、今後の金利政策を考える上で、まずは春闘でどこまで中小企業、パート・アルバイト社員の給与が上がるかが大きなカギとなり、その動向によって新任の日銀総裁も次の政策の指針を決めることになるのではないでしょうか。
2023/1/31
