中古マンションの買い時について前回のブログでお話をしました。
日銀が現在の政策を継続することを発表している以上、変動金利の引上げがすぐに実施される可能性は低くく、焦って買い急ぐことはありません。
首都圏の中古マンションの価格は、売る側の希望価格と買う側の価格に差が広がる傾向にあり、この乖離が更に広がると値崩れを起こす可能性もあり、この点からも焦って買い急ぐ必要はなく、もう少し様子を見ても良いのではないでしょうか。

中古マンションの築年数と売買(成約)価格の傾向
日本の不動産売買の基本は同じ立地条件、同じ価値(築年数や間取り)のマンションが過去に売買された価格を参考にする値段の付け方が一般的です。
これを取引事例比較法と言います。
新しい不動産は高く、築年数が経つにつれ建物の価値は低下する評価が一般的でこれは不動産の減価償却や固定資産の評価からこのような考え方がされています。
参考ですが海外ではなったく違った価格の設定がされています。
不動産の価値は、管理(修繕)が適正に行われていれば築年数に関わらず販売当時の価値があり売買価格も変わらないとする方法です。
そのため、築100年を超えるマンションが新規マンションと同等の価格で売買されています。
国土交通省もこの考え方を何とか日本にも導入したいと思っているようですが、日本の税制制度や不動産評価法ではなかなか受け入れられません。

グラフよりも明らかなの様に新築マンションは一度買手が付くと築年数の経過に従い、価格は徐々に値下がりしますが、築年数が20年を超えるとほぼ横ばいとなります。
中古物件を探す時に参考にすると良いのではないでしょうか。
専有部分のリフォームで新築になる
皆さんが購入するマンションの各部屋は中古物件でもリフォームを行うことで新築物件と遜色がない状態にすることは可能です。
もっと言えば、中古物件のリフォームでは自分の好みで壁紙、フローリング、天井材も変えることができ、キッチン、バス、トイレも思った設備に交換することができます。
新築物件を購入した場合と比較しても専有部分については遜色ないと考えても良いのではないでしょうか。
ただし、共用部分(外観、エントランス、エレベーター、階段などの設備)は築年数によって劣化は進みますが、マンション管理組合が適正な修繕を行っていれば新築物件と遜色ないケースも多くあります。
国土交通省は共用部分の修繕(メンテナンス)工事について次のように指針を公開しています。

しかし、マンションによって修繕への考え方、建物の劣化の状況が異なるため、マンション管理組合にすべて委ねられている現状があります。
そのため、マンションによって修繕状況が異なり、適切に行っているマンションとそれ以外のマンションがあります。
皆さんが購入した専有部分のリフォームと同様に躯体や共用部分のリフォーム次第と言うことです。

躯体のリフォームは管理組合次第
先ほど国土交通省の長期修繕計画のガイドラインを築年数の㎡単価当たりの価格の推移はつぎのような関係になり特に築20年を過ぎたマンションでは管理組合の修繕工事の実施状況が各マンションで異なっていることがほとんどです。

中古マンションを購入する方は、この点に十分気を付けて物件の選択を行う必要があります。
特に築20年を過ぎたマンションは、まじかに大規模な修繕工事がある可能性が高く、管理組合の財政状況によっては購入後、すぐに一時金の徴収があるケースもあります。
マンションの寿命は?
マンションの主要部分の多くは鉄筋コンクリート造で作られています。
建物自体の耐久は100年以上あるとも言われますが、その躯体を守るために表面の防水処理や設備のメンテナンスが必要になります。
特に館内に配置されるライフラインである給水管、ガス管、電気もそれぞれに耐久年数があり、一定時期には交換が必要になります。
それ以外にも排水管、エレベーター、建具などの交換工事も必要になります。
これら修繕の対象は共用部分と言われ、各個人ではなく管理組合が修繕を行うことされています。
日々のメンテナンスを適正に行うことでマンションの寿命は100年以上あります。
事実、海外では築後100年近く経つマンションが現役で売買されています。
例え築30年を超える中古マンションを購入しても管理さえしっかりしていれば終の棲家としてその役目を真っ当するだけのポテンシャルはあることを覚えておいてください。
管理の状況を確認する
専有部分のリフォームは購入者がルールに従って行うことができますが、自由に出来ない共用部分の修繕は管理組合の運営に依存します。
では、管理組合の運営の適正化を調べるにはどうしたら良いのでしょうか。
答えは現在までに行った修繕の実績と今後行う必要がある修繕の予定表とそれを実施するための資金を確認する必要があります。

具体的には「長期修繕計画」と「修繕積立金計画」を確認することになります。
次回は購入する価値があるマンションを未来に対する準備の面から評価する方法についてお話します。
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