よく質問を受けることに住宅ローンの商品に記載のある基準金利(店頭金利)と適用金利についてです。
確かに住宅ローンを選ぶ際にいろいろな名称で呼ばれる金利があり、比較できにくいと言われる方がいます。
今基準金利と適用金利の違いを正しく理解してください。
基準金利とは何か?

このグラフは皆さんもよく知っていると思います。
住宅ローンの金利タイプ別の金利の推移グラフです。
変動金利が2009年以降安定していることはすぐわかります。
一方、固定金利、固定金利期間選択タイプは上下を繰返しながら推移しています。
このグラフは基準金利(店頭金利)を示しています。
基準金利とは各金融機関が貸出時の最大金利として提示している金利です。
この金利は10年国債の金利、スワップ金利、日銀の政策金利により変動します。
例えば、昨年末に日銀が10年国債の金利を0.25%アップしました(0.5%まで容認)が、その結果固定金利の金利を主要銀行が引上げることを発表しました。
これにより、基準金利は0.18~0.3%が引上げられました。
2022年12月の全国の金融機関の住宅ローンの金利幅は各金利タイプで次のようになります。

この表の最低金利と最高金利の幅は各金融機関が顧客に提供している金利に幅があることを示しています。
最高金利が「基準金利」になります。
この基準金利は店頭金利とも言いますが、各金融機関の住宅ローンの定価と考えると分かり易いと思います。
この基準金利は各金融機関によって異なります。
一般的には店舗を持つ金融機関は維持費等の経費があるため高めの設定、ネット銀行は店舗の維持費が必要ないため低めの設定になります。
では最高と最低金利はどのように決まるのでしょうか。
適用金利とは
定価で基準金利ではなかなかお客さんに借てもらえません。
そこで各金融機関は値引き幅を用意しています。
この値引きを「優遇金利」と言います。
商品で言うと値引き率と言ったところでしょう。
基準(店頭)金利と適用金利の関係は次のようになります。

優遇金利の決め方
優遇金利の決ま方は借入る人の信用力、資産力、ローン条件で決まると言われています。
金融機関にとっては貸す人のリスクを判断材料に優遇金利(値引き率)を決定します。

そのため金融機関の商品説明は次のように書かれています。

適用金利は2つのタイプ
適用金利には2つのタイプがあります。
タイプ | 適用期間 | |
当初優遇 | 契約時に約束した期間だけ優遇金利を受けることができる商品 | |
全期間優遇 | 返済まですべての期間で優遇金利を受けることができる商品 |
これが金利タイプの固定期間選択タイプ、全期間固定金利タイプの商品になります。
例えば上記商品では金利タイプ別に次のようになります。

変動金利の見直しは半年ごと年2回行われます。
基準金利が引上げられると適用金利も引上げされます。
そのため、変動金利タイプでローンを組んでいる方は、半年ごとの基準金利の動向を確認しておく必要があります。

全期間固定金利は契約時の適用金利が返済まで適用されます。
基準金利が上下しても全く影響を受けることはありません。
一度、契約すれば金利の変動の心配をすることがないためその点では安心です。
しかし、金利は変動金利タイプ、期間固定選択タイプより高く設定されているため、余計に利息を支払ことになります。

契約から10年間は固定金利が適用され、契約時の適用金利による返済を行います。
この間に基準金利が引上げられても返済額に影響はありません。
固定期間の10年を過ぎると優遇金利は1.5%です。
その時の基準金利‐1.5が適用金利になります。
基準金利が契約時より引上げられていれば、適用金利も引きあがることになります。
まとめ
基準金利と優遇金利から適用金利が求められることがお分かり頂けたたと思います。
では、実際に借りる時に注視すべき金利は「適用金利」です。
この金利が低い商品ほど返済額は少なくなります。
しかし、変動金利タイプは6カ月に1度、固定期間選択タイプは選択した期間を過ぎると基準金利の上下が影響します。
基準金利が変動するリスクをよく考えた上で住宅ローン商品を決める必要があります。
自分はリスクにどの程度の許容範囲があるかを考え、家族で話合って決めてください。
将来は誰にも正確な見通しをすることは出来ません。
現在の家計をただ見極め、金利の上昇が起きた時のリスクに備える。
それが住宅購入後に必要なことです。
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