マンション購入後に不具合が発生した相談は多く寄せられます。
特に中古マンションを購入した方からの相談は大小様々です。
多くの場合、仲介不動産会社に相談すると売主と相談した上で修繕などの対応をしてくれます。
ただし、購入後、半年、1年を超えて見つけた不具合にはなかなか対応してくれない現実があります。
今回は不動産契約と不具合(瑕疵担保)について正しく理解してください。
新築マンションの売買契約には法的な保護がある
新築マンションには基本的に保証期間があります。
これを「契約不適合責任」と言いますが、対象になる部分は躯体(建物)の構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分の欠陥がある場合です。
どちらの生活の基盤としての住宅の目的に関わるため、10年間と言う長い期間を保証しています。
構造耐力上主要な部分に瑕疵(欠陥)がある場合は大問題です。
マンションのような集合住宅では個々の問題では済みません。
このような事態は管理組合が前面に立って分譲会社や建設会社に責任を追及することになります。
雨水の侵入については意外にあります。
各専有部分の工事不良が原因でサッシ部分から雨水が入る、ベランダから多量の雨だれが落ちてくると言った相談は良くあります。
このような場合は、管理組合を通して分譲会社に修繕を求めますが、新築時はなかなか管理組合が活動でいない状況にあることも多く、管理会社を通して修繕を求めます。
「契約不適合責任」は買主に不利な契約内容を無効としています。
修繕を求めることと損害賠償は別
多くの方が誤解している点ですが、施工不良等があった場合には被害者(買主)には2つの権利が認められます。
1、修繕を求める権利
2、損害賠償を請求する権利
修繕をしてくれればいいよと言うケースがほとんどですが、修繕のために引越しが遅れた、数日間生活が出来なかったと言った事態では、修繕とは別に賠償請求をすることも出来ます。
これは是非、覚えておいてください。
*躯体(建物)の構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分により住むことが出来ない場合は、建替えを求めることは出来ませんが、建替えると同等の賠償を求めることも可能で、実際判例で認められたケースがあります。
それ以外の瑕疵への保証
相談として多い例は備付の家具や設備の不備です。
新築マンションではアフターサービスとして契約書に書かれています。
品確法の瑕疵担保と異なり法律ではありません。
この点は注意してください。
分譲マンション販売の業界団体では次のような目安でアフターフォローを設定することとしていますが、会社により異なるため売買契約時に必ず確認してください。
すでに購入されている方はマンション購入時に配布された「アフターサービス規準書」で確認してください。

実際に不具合が発生した場合は分譲会社が対応します。
家電等の設備はメーカーの保証期間になりますが、これについても分譲会社に状況を説明すると対応してくれますが、メーカー保証期間によっては有償になることもあります。
2年間を下回る保証期間は無効
売主が不動産業者の場合、宅地建物取引業法により瑕疵担保責任の期間は引渡しから最低でも2年間設けることが定められています。
(引渡しから2年間です。契約からではありません、注意してください。)
分譲会社から購入する場合も分譲会社は不動産業です。
そのため、2年間の保証期間を定める必要があります。
これよりも短い保証期間を設定したり、瑕疵免責事項の記載は無効になります。

瑕疵に気づいたらできるだけ早く連絡する
もうひとつ覚えておくことがあります。
民法の規定する規定には、皆さん(買主)が瑕疵を知ってから1年以内に分譲会社に(売主)伝える必要があります。
この期間を過ぎると分譲会社はその瑕疵についての法的な責任がなくなります。
購入したマンションが引渡しされた後2年以内に発見した瑕疵(不具合)については出来るだけ早く分譲会社(売主)に連絡することを覚えておきましょう。

瑕疵には2つある
瑕疵(不具合)は、売主が承知している瑕疵と隠れた瑕疵があります。
売主が販売前から知っている瑕疵(不具合)は、販売前に修繕や補修を行います。
もし、瑕疵(不具合)を知っていてそれを買主に告げずに販売した場合、瑕疵担保の期間は無効になり損害賠償の請求や契約解除の対象となります。
知っていて買主に伝えないわけですから当然です。
しかし、知っていた事実を立証する義務は買主(みなさん)にあります。
元々と伝えるべきことを故意に伝えずに販売するような悪質な業者です。
泣き寝入りする人も少なくありません。
新築マンションまでほとんどありませんが、中古マンションではこのようなトラブルはあります。
これに対して改正前民法では「隠れた瑕疵」と表現されていましたが、所謂、売主も知らなかった瑕疵(不具合)があります。
民法が改正され「契約の内容に適合しないものであるとき」と表現が変更されました。
瑕疵(不具合)と表現から契約内容に適合しないと不具合の範囲が広がる表現になりました。
新築マンションで見つかる不具合はこのケースが該当することがほとんどです。
クロスの汚れ、建付けが悪い、床が傾いている、サッシから雨漏りなど意外と多くあります。
このような場合は、分譲会社に連絡して修繕や補修を請求します。
ほとんどはこれで問題は解決しますが、中には拗(こじ)れるケースもあります。
公益財団の利用をお薦めします
分譲会社の中にはあれこれ言い訳をした何とか不具合を認めたがらない会社があります。
その時は公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターへ相談することをお薦めします。
このような事態は両者の言い分が食い違い、最終的に感情的な問題になること多くあります。
分譲会社が不具合を認めない以上、何か認めなくても許される状況であることも多く、その理由も含めて第三者が公平に判断してくれます。
もちろん、悪質な業者に対しては弁護士や示談等で解決するADR制度についても紹介してくれます。
費用は無料です。
下手に初めから弁護士や不動産の専門家に聞くよりも効率的な解決ができます。
不動産は高い買い物です。
高い買い物だからこそ、不具合の大小に関わらず改善、修繕を求めるべきです。
多くの分譲会社は丁寧に対応してくれます。
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