日銀黒田総裁の衝撃的な金利引上げは世界にもかなり衝撃的だったようです。
一気に円高が進み、131円まで値を下げました。
株価も大幅に下落して肝を冷やしている投資家の方も多いようです。
あれから数日、欧米もクリスマス休暇に入り、日常とはちょっと違った値動きになっているようです。
発表後の23日の為替市場の動きは円安に動きはじめた微妙な動きをしましたが、これは想定済みです。

yahoo為替チャートより
~12月23日までの1週間の動き
このような値動きは今年に入り財務省の為替介入が何度かありました。(チャート2)
その度に瞬間的に円相場は円高に動きましたが、数日もみ合った後、円相場は円安になっていることがわかります。
財務省の施策の効果は一過性であったと言えます。
円相場の全体的なレベルは円安になったことは確かですが、円安に誘導することはできませんでした。
世界から見た時の円の価値を考えると今回も恐らく年明けから円安に進むのではないかと考えています。
アメリカの金利政策次第ですが、137~138円程度で落ち着くのではいかと。(金利引下げ前のレベルを超える)

yahoo為替チャートより
~12月23日までの6カ月の動き
日本政府の財務の30%以上が借金
この意味は日本の財政が悪いことを意味しています。
ほぼ自転車操業に近いと言っても良いでしょう。
ただ、すぐに破綻と言う訳ではありません。
日本の日銀は信頼があり、借金と言っても日銀が買って保有している額も大きく、経済がもつ根本的な力はまだまだ捨てたものではありません。
しかし、財政が良くない国の国債の信用度はやはり投資家にとっては気になります。
積極的に日本の国債を買う動きにはならない。
結局のところ、国が発行する国債を日銀が買って市場にお金を流す。
これは政府の財政的な問題です。
金利も他国に比べ低く、その上財政面にも不安があると判断されれば、以前のような日本国債に魅力を感じる方は少ないでしょう。
その上、今回決定された2023年度予算では、防衛費に国債を使うことも決まり、更なる財政悪化に進むことがほぼ決定的です。
別に悲観的に考えているわけではありませんが、余程の景気を下支えする新しい産業が成長する以外にこの局面が改善されることは考えにくいと言えます。
物価高騰の動き
来年4月にかなりの商品の値上がすでに公表されています。
政府は電気代の補助を臨時予算に組込みましたが、食品だけでなく、輸入する資材、運送費、国内流通費も値上げされれば、電気代の補助程度では落ち込んだ国民の消費意欲を動かすことはできません。
来年夏以降には物価高騰の動きも鈍化すると黒田総帥は予想しているようですが、これもどこまで当てにしていい話なのか不透明です。
ウクライナ侵攻が予想外に長引く中、燃料確保の不安もあります。
更なる電気代高騰の可能性もまだ消えていないことを忘れるべきではありません。
住宅ローン商品の金利の動き
ここ数日の住宅ローンの金利は変わっていません。
変動金利で0.2~0.4%、10年固定で0.8~1.2%、フラット35で1.4%です。
各社、今回の金利の引上げが住宅ローン金利に大きな影響を与えることはないと考えているようですが、一方、消費者に「今が買い時」と思わせることで駆け込み購入にも期待感を持っています。
時期が時期だけにすぐに固定金利の引上げは考えにくいと思いますが、金融機関としては現在住宅購入を検討中に方に向けて何かアピールしたいがための固定金利の引上げを年明けに行う等の発表があっても驚くことはないでしょう。
少しでも住宅ローン金利が上がれば、大きく報道され、駆け込み需要につながると判断すれば、その動きをしないとも限りません。
一方、変動金利は現在の金利レベルが大きく変動することも考えにくいと言うのが専門家の多くの考えのようです。
現在の日銀の金融政策ではこれ以上、変動金利を下げる余裕はなく、かと言って上げるデメリット(景気を押し下げる)も大きいため、現在の方針を続ける以外に手がないのではないでしょうか。
来週月曜日からの為替相場が円安に動けば、来年もこの傾向は続くのではないでしょうか。
来年も4月には多くの商品の値上がすでに公表されています。
物価高騰が収めるのは早くても来年の夏以降。
給与が4月から上がる見込みとは言え、物価高騰を上回るほどの賃上げが可能かどうかも不透明です。
例え、上がったとしてまだ収まらない物価の上昇に一度冷え切った消費者の購買意欲がそう簡単に戻るとも考えられません。
このような事情を背景に変動金利については、大幅な上昇は考えにくいと見込まれます。
今日からはじまる今年最後の取引。
是非、注目してください。
12月26日月曜日、1アメリカドル132.6円