2023年もすでに20日が過ぎ、金融政策で一波乱ありました。
物価高騰の動きも相変わらずです。
今回は、2023年の不動産価格について考えることにします。
2022年までの不動産価格の動向
昨年までの不動産価格の挙動は国土交通省が公開しています。

2010年を100%とした戸建住宅、マンションの価格指数を示したグラフです。
住宅地(土地の価格)はほぼ横ばい、戸建住宅もほぼ横ばいです。
これは住宅地の価格が2010年以降、それほど上昇していないため、戸建て住宅への影響も少ないと見ることができます。
これに対してマンションは急激な価格上昇により住宅総合(赤)を引上げていることがわかります。
マンション価格は首都圏を中心に億ションが頻繁に発売され、マンション価格を引き上げてきましたが大型開発も大方終了し、今後は傾きを緩めると思われていました。
事実、オリンピック終了後のマンション価格は、それまでの値動きと傾向が変わったことがデータにも示されています。

しかし、2022年下期以降は、建築材料の高騰、人件費の高騰が続き、今後もマンション価格は上昇すると見込まれています。
近年は価格の高い新築マンションに見切りをつけ、中古マンションを求める人も多くなっています。
土地付き戸建ては都心では無理、手頃さを求めるとどうしても立地を犠牲にするしかありません。
新築マンションは価格そのものが高く、とても手が出ない。
中古マンションが選択肢の一つとして注目され、それと共に価格も上昇していることがわかります。

2012年を基準に考えると新築マンションは1.37倍、中古マンションは1.45倍とむしろマンション価格の値上がり率としては中古マンションの方が高くなっているとも言えます。
2023年の新築マンション市場
新築マンション価格は横ばい、あるいは資材価格の高騰の影響により上昇すると考えていますが、その動きも一時であり、販売価格自体は下降傾向に転じると考えています。
その理由は、購入者の意欲が金利の不透明感、物価高騰の影響を受け、様子見に転じるのではないかと思われることにあります。
事実、昨年からの新築マンションの成約率(売買契約が成立した率)は物価が高騰し始めた2022年から頭打ちになり下降に転じています。

不動産も需要と供給の関係で価格は決定されます。
買手が少なければ、価格は下がるはずです。
分譲会社も売残りは、自社の財政を圧迫します。
ただし、新築マンションの中にはコンセプトが明確で付加価値のある物件は人気があり、価格に関わらず購入希望者も多くいます。
今後の新築マンション市場は高値で売れるマンション、価格を下げても売れ残るマンションの二極化が進むと考えています。
結果として売買価格は横ばい、あるいはやや上昇を維持しますが、その中身は大きな変化が起きるのではないでしょうか。
2023年の中古マンション市場
中古市場も物価高騰の影響を受けることが予想されます。
中古マンション購入希望者の世帯収入は新築マンション者よりも少なく、物価高騰の影響をより大きく受けます。
その上、固定金利の引上げが今後も行われだろうと言う不安感は、買い時を鈍らせるでしょう。
今年4月の賃上げの動きも物価上昇率を超えることは無さそうな動きです。
成約率の低下は販売物件の売れ残りを示します。
売れ残る物件を売るためには、付加価値を加える、あるいは価格を下げる動きが強まるのではないでしょうか。
昨年から徐々に増加する仲介業者が買取りリノベーション(付加価値をプラス)をした上で販売する物件は増えるでしょう。
また、少しでも早く現金化したい買手は、価格を下げる動きを加速させると思われます。
いずれにしても昨年までの様に価格を押し上げる要素は少なく、維持、あるいは値下がりの動きに転じると予想しています。
ただし、都内は1LDKを中心の物流は活発で、価格は上昇の傾向は変わりません。
まとめ
現在、FJマンション管理士事務所、渋谷オフィス(不動産売買部門)への相談件数は増えています。
その多くが「買い時に関する問合せです。」
不動産市場に一定の傾向はありますが、個々の物件がその傾向と同じような動きをするとは限りません。
本来、不動産は出会いです。
投資物件を買うのなら市場の動向も重要ですが、お住いとして購入されるのではあれば、買い時だから買うのではなく、ご自身の購入資金準備状況、条件にあった物件を見つけたタイミングを十分に検討された上で判断すべきです。
住宅ローン金利、国の住宅取得への補助制度は十分に整っています。
是非、欲しい、住みたいと思った物件と出会ったタイミングを大切にしてください。
