不動産取得を検討中の皆さん、2023年2月の経済指標から今月の住宅ローン金利の動きをお伝えします。
為替相場
昨年10月に150円台に達した円安の動きは、日銀の国債金利0.5%容認の動きを察した投資家の動きにより、2022年11月10日から数日で146円から138円台に円高が加速しました。
その後もこの傾向は続き、0.5%容認を発表した2023年12月30日に131円に達しました。
年明けも円高傾向は続き、日銀が更なる金利の引上げ、異次元の金利政策の方向転換を発表すると期待した投資家の行動により1月政策金利決定会合が開催された1月17日、18日には127.88円まで対ドル為替は円高が進みました。
しかし、投資家の期待は叶わず、日銀は異次元の金利政策の継続を発表。
これにより対ドル円相場は130円前後で推移しています。

FJマンション管理士事務所では、早い時期から異次元の金利政策の方向転は景気の先行きを考えればなく、対ドル円相場は、130円~132円前後で安定推移すると予測しブログでも公開しました。
結果は、予想通りに金利政策は現状の維持、円相場も130円前後で横ばい、あるいはやや円安に振れています。
この傾向はウクライナ情勢に大きな変化がない限り、今月は続くと見ています。
気になる対ユーロの動き
為替相場ではきになる対ドルばかりが注目されがちですが、対ユーロに対しては、アメリカに追随する形でEUの金利引上げが決まり昨年9月から円安には動いていますが対ドルに対する挙動とは異なり、一定で推移しています。
貿易額が対米に対して少なく、貿易収支に与える影響もほとんどありませんがウクライナ情勢に大きな変化があれ対ドルよりも先にユーロ相場に変化がでると思われ今後も推移を見守る必要があります。
住宅ローンへの影響
海外からの建築資材の輸入が住宅価格の値上がりを招いた一面があり、円安が落ち着いたことで市場価格は安定すると思われますが、今後発売される住宅は円安時に購入した資材であり、しばらくは住宅価格が下がるとは考えられません。
また、賃上げの動きにより作業員への人件費は、今後上昇する見込みです。
このような経済環境で2月に発売される住宅価格は、現状維持、あるいは値上がりすると予想しています。
長期金利の動き
住宅ローンの固定金利と連動する10年国債の利率は、昨年末の日銀0.5%引上げ容認を発表後、急激な上昇はありましたが、その後の政策決定会合で金利政策の現状を維持との発表を受け、急落、値戻しで推移しています。

2月も0.5%未満での推移が続くと考えています。
次の大きな動きは2023年は3月9日10日に行われる次回の日銀金利政策決定会合の前でしょう。
この頃になると投資家から再び、金利引上げに対する強いプレッシャーがあると予測できます。
しかし、黒田総帥が過去の自身の政策を否定する発表を退任時に行うとは考えにくく、今後の政策は次期総裁に委ねると見ています。
そのため、今後の住宅ローンの金利の動きを決定する時期は、新総裁の元で初めて開催される4月27日 〜 28日の日銀金利政策決定会合と見ています。
しかし、国内の景気観は短観がマイナスになったように先行きに不安があり異次元のマイナス金利政策をいきなり止めるようなことは出来ない事情があります。
金融機関の動き
2月初めに大手銀行が発表した住宅ローン固定金利商品は、各銀行で異なる動きをしました。
金融機関 | 10年固定金利(%) | 引上げ上げ率(%) |
三井住友銀行 | 1.140 | ±0 |
三菱UFJ銀行 | 1.150 | 0.100 |
auじぶん銀行 | 1.115 | ▲0.020 |
ソニー銀行 | 1.163 | 0.218 |
みずほ銀行 | 1.400 | ±0 |
楽天銀行 | 1.727 | 0.329 |
auじぶん銀行が金利を引き下げた一方で、三菱UFJ銀行、ソニー銀行、楽天銀行が金利を引き上げました。
特にネット系銀行は動きが分かれたことは、各社が今後の金利の動きで判断が分かれていることを示したと考えています。
固定金利の引上げを見込んで一定の数は駆け込みによる購入をすることも予想され、表中の上位3行はこれを見込んだ設定とも考えられます。
一方全期間固定金利商品は調べた金融機関では引下げは0行、それ以外では引上げ幅に差はありますがすべて引上げが行われました。
金融機関 | 全期間固定金利(%) | 引き上げ率(%) |
三井住友銀行 | 2.490 | ±0 |
三菱UFJ銀行 | 1.880 | 0.070 |
auじぶん銀行 | 2.130 | 0.050 |
ソニー銀行 | 2.583 | 0.218 |
みずほ銀行 | 1.670 | 0.010 |
フラット35 | 1.760 | 0.080 |
やはり全期間固定金利は、貸す側のリスクは今後高まると判断している様で、3月以降も引上げの動きは続くと見ています。
10年固定、全期間固定のいずれの金利商品も契約時の優遇金利には幅があります。
*優遇金利とは個人の家計(頭金、返済負担率など)の事情で決定される。
優遇金利は依然大きな幅があり、金利の引上げ幅を吸収できる範囲であり、借りる側の家計の事情によっては一考の余地があるとも言えます。
いずれにしても、固定金利は引下げに進む要因は見当たりません。
良くて現状維持、悪くすると大幅な引き上げも予想されます。
固定金利による購入を決めている方にとっては2月は決断を迫られる時期になります。
無担保コール翌日物レート
変動金利に連動する無担保コール翌日物レートは日銀の政策金利を示す指標とも言われます。

昨年末の国債金利の容認の動きに併せて、無担保コールの金利も大幅な上昇に転じました。
各金融機関も金利引上げの動きが、金利政策(マイナス金利政策)の転換につながる可能性を予測していたことがわかります。
しかし、現状維持の発表により、金利は-0.01%付近で高止まり、その後はそのレベルを維持しています。
これの動きはFJマンション管理士事務所ではすでに昨年末からサイトで予想をしていた内容と一致しています。
マイナス金利政策が続く限り、無担保コールの金利はマイナスで推移することは明らかで、変動金利の大幅な引き上げをネットに垂れ流した報道には呆れています。
今後もこの状態は総裁の交代、4月の政策金利決定会合までは続くと読んでいます。
その意味では、2月3月に変動金利の引上げはないと判断しています。
ただし、一時期の低金利時に発売された借換え向け商品の金利は上がっています。
それでも固定金利に比べれば1.5~2%程度は低金利であることも事実です。
固定金利から変動金利の借換えはリスクはあるもののメリットも大きいと言えますが、サイトで公開しているコロナの後遺症問題もあり、当事務所としてはお勧めはしません。
以上が2023年2月の住宅購入者向けの情報になります。
最後に
今後も金利の動向は報道で大きく扱われることになります。
特に変動金利に関する報道は利用者の不安を煽り、無責任な内容の情報が多く流れる傾向があり、読む側も一定の知識レベルが求まられます。
当事務所では、住宅ローンを契約をされている方、今後住宅の購入を見当れている方に向けたデータに基づいた情報を公開します。
「正しく恐れ、正しく対策」を忘れないでください。
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